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Know-how / 2020.02.10

ファンベースとは?その必要性・メリットと活用のポイントを詳細解説

ファンベースは、顧客に対する新しいアプローチの方法です。今後、少子高齢化や人口減少などの社会問題が進んでいく中で、ファンベースの考え方はより重要になります。

今回はその「ファンベース」について詳しく解説します。ファンベースという言葉を耳にしたことはあっても意味をあまり理解していない方や、そもそも初めて聞くという方もぜひご覧ください。

目次

ファンベースとは

ファンベースとは顧客に対する新しい概念です。顧客を自社に利益をもたらす存在として捉えるのではなく、企業を支えるファンとして捉えて顧客を大切にしていこうとする考え方です。

「ファンベース」は、佐藤尚之氏によって提唱された概念です。佐藤氏は1985年に電通に入社し、コピーライターやCMプランナー、ウェブディレクターなどを歴任した後、2011年に株式会社ツナグを設立。近年は「ファンベース」の概念に共感した野村ホールディングス株式会社、アライドアーキテクツ株式会社の3社で、2019年5月に「株式会社ファンベースカンパニー」を設立しました。

佐藤氏は自社の商品を深く理解していて、いつも買ってくれる顧客、つまり「ファン」ユーザーにもっとフォーカスしていく考え方がファンベースの基礎であると述べています。このファンベースの根底には、「ファンとは単なるリピーターではない」という考え方があります。

そもそも、一口に「リピーター」や「既存顧客」といってもさまざまなレイヤーがあり、ユーザー全てが必ずしも愛着を持って商品を選んでいるわけではありません。

例えば、とあるヨーグルトのリピーターではあるけれど、決してその商品の「ファン」ではないという場合。単なるリピーターであれば商品や会社に対する愛着はないので、もしも同じような成分で安いヨーグルトが他社から発売されたら、すぐに顧客は乗り換えてしまうでしょう。対して、コアな顧客であるファンは、商品の機能だけでなく、販売元のブランドへの共感や愛着、信頼感といった要素を支持してくれています。この場合、競合他社から類似商品が発売されたとしても、ファンは乗り換えることはしません。

また、「ファンベース」というネーミングにも意味が込められています。「ファンビジネス」や「ファンマーケティング」は、ファンを囲い込んでコミュニティを作り出し、利益を出そうという考え方です。そのため、発想そのものやテクニックは評価できる一方で、考え方はファンベースとは異なります。

ファンベースは顧客を囲い込んだり、刈り取ったりする発想ではなく、共感や愛着、信頼をお互いに構築して、良い土台作りをすることに重点が置かれています。売上を立てることはもちろん重要ですが、これからの時代はファンの好意をベースにしていかないと企業価値が保てない時代になってきていると佐藤氏は語っています。

ファンベースの重要性

なぜファンベースの重要性が高まり、注目を浴びるようになったのでしょうか。その疑問は、佐藤氏の答えに集約されています。まず、ファンベースが重要となってきた背景として5つの時代背景が関係していると佐藤氏は述べています。5つの時代背景とは、人口減少・高齢化社会・独身社会・超成熟市場・情報過多と二極化を指します。

人口およびライフスタイルの変化

はじめに人口減少・高齢化社会・独身社会の3つの要素から紐解いてみましょう。

高齢化社会というキーワードは、よく語られる日本における大きな問題の1つです。日本では毎年100万人もの人口減少が起こっていますが、これは100万都市である千葉市や仙台市が毎年消滅するのと同程度の事象です。この人口減少は顧客と成り得る人口が物理的に減っていくことを意味します。

さらに、2024年には全国民の3人に1人が65歳以上となる高齢化社会が到来すると言われています。高齢者は新しい商品を購入するよりも、これまでのライフスタイルに合った馴染みのある商品を購買する保守的な側面があります。そのため、これからの時代において企業が新規顧客数を増やすことは、非常に困難なことになりつつあるのです。ましてや生活者の絶対数が物理的に減り、需要も減る中で新規顧客を獲得していくため、競争の激化も想定できます。

独身社会という観点からは、2035年には人口全体の約半分が独身者になると言われています。したがって、これからの時代は、結婚・妊娠・出産などのライフステージの変化に伴う新しい需要も相対的に減っていくことが想定されます。

このように人口が減ったり、ライフスタイルの変化によって需要が減ったりする中で、顧客の数を増やし、自社製品を購入してくれるユーザーを増やすにはファンを生み出すことが非常に重要です。

市場の変化

次に、超成熟市場という社会背景があります。超成熟市場とは、多くの商品が存在しその全てのクオリティが高い状態の市場のことです。

ある市場の実験結果で、24種類のジャムを置いた売り場と、6種類のみ置いた売り場で購入結果の比較実験をしました。結果は24種類の売り場では購買者が3%しかいなかったのに対し、6種類の売り場では30%近くの人が買ったという興味深い実験結果が出ました。

上記の実験結果が示す結論は、人は選択肢が多すぎると選ぶこと自体に悩んでしまい、結果的に購入を止めてしまうというものです。実験の結果にはUSPが大きく関係しています。USP(Unique Selling Proposition)とは、商品固有の特徴や差別化ポイントです。多くの質の良い商品が並んでしまうことで、商品特有の良さ、差別化を図ることが難しくなり、陳腐化してしまうのです。

競合他社より先行して販売された商品は、優れた商品であればあるほど、後発に研究されます。イノベーティブな商品であっても、わずか数年で他社に追随されて陳腐化し、売上でも追い抜かれてしまうことも珍しくありません。だからこそ、購入者にブランドに好意を持ってもらうことが重要であり、ファンベースの考え方に通じてきます。

商品やサービスの機能価値はコピーできますが、情緒価値はコピーできません。顧客一人ひとりの情緒価値を高めていくことこそが、超成熟市場において競争力を持つための重要なアプローチだと佐藤氏は強調しています。

社会の変化

最後に解説するのは、情報過多と二極化です。

情報が多すぎるということについて、佐藤氏は情報を砂の一粒に例えて、「砂一粒」時代という造語を作りました。2006年から情報量は増加し続け、2010年の世界のデータ量は988EB(エクサバイト)=約1ZB(ゼタバイト)もの分量になります。1ZBは「世界中の砂浜の砂粒の数と同等」ともいわれており、途方もない数量であることが分かります。2020年現在も、データ量は増え続けており、情報過多はさらに進行している状況です。

一方で、情報に関する二極化の問題もあります。砂の数ほどある情報に、日本全国の人がアクセスしているのかというと、そうではありません。東京だけ検索数が突出しているというデータがあり、同じように年間の電車利用回数とマイカー通勤・通学率を調べたデータでは、電車に乗っている人はやはり東京だけが突出しています。このデータから分かることは、多くの情報をネットで検索し、電車の中でもスマートフォンなどで情報を得ているのは、首都圏だけの風景だということです。他の都道府県の人たちは、電車ばかりでなく車に乗ったり、ラジオを聴いたり、新聞を読む文化も根づいています。極端に言えば、東京はマイノリティであり、デジタルマーケティングに寄りすぎていると佐藤氏は言います。

このような背景から、首都圏の人には情報が多すぎて伝わりにくい一方で、地域圏の人にはテレビCMなどの効果が高いものの、デジタルマーケティングが通用しないという二極化の構図ができています。これからの時代は両方のアプローチを考える必要があり、これまで以上に予算が必要ということになることも考えられます。

その点、ファンベースの考えに基づいて感情に起因するファンを獲得することができれば、今の社会においても低コストで継続して事業を続けられるのです。

ファンベースが企業にもたらすもの

ファンベースを中心とした取り組みをしていくことで、新規顧客の増加が見込めます。

自社のファンは企業に対する愛着があるため、第三者に対して熱量の高いレコメンドをしてくれるでしょう。そのため、PR施策や各種広告などを打たなくとも、既存顧客であるファンがオフライン・オンラインを問わず商品を広めてくれたり、新規顧客を連れてきてくれたりするメリットがあります。

少子高齢化が著しい現代の社会において、新規顧客の獲得は大変難しく、どの企業においても大きな課題となっています。しかし、そんな課題をクリアにしてくれる可能性を持つのが、ファンの絶対数を増やしていくことです。

ファンによるポジティブな連鎖がつながっていくことこそが、ファンベースが企業にもたらす最大のメリットなのです。

ファンを生み出し、育てるための工夫とは?

企業におけるファンベースの考え方は対顧客だけのものではありません。まずは、社員一人ひとりが自社のファンになるという考え方が非常に大切です。自社で働く社員がファンでないと、顧客の感情に訴えられるような体験やサービスを提供することは難しいでしょう。また、社員自身が1人のファンとして情報を発信することで、顧客とより近い位置でサービスを作り上げていくことができます。

この前提を踏まえたうえで、ファンを生み出して育てるための3つの方法があります。

ファンファーストな対応をする

1つ目は、ファンの意見に耳を傾け、その意見を基にして良い部分を強めて悪い部分を改善していくことです。

ポイントは既存のファンの意見や動向に着目し、優先的に商品・サービスの開発や改善に取り入れていくことです。ファンファーストな対応をすることで、ファンに共に作り上げていく感覚を味わってもらえたり、価値観の共有ができたりします。また、ファンを尊重することでファンが自信や誇りを持つことにもつながり、より強固な関係性が生まれるでしょう。

結果として、ファンはコアなファンに変容し、LTVも全体的に向上します。

ファンの愛着心を高める

2つ目は愛着を強めることです。愛着を強めることで、自社の商品・サービスの価値を唯一無二のものとして扱ってもらえるようになります。愛着を強める方法には、商品にストーリーやドラマ性を付与するなど、ストーリーテリングなアプローチをする手法が効果的です。

また、商品以外にもファンとの接点を作り、共に商品やサービスを育てていく体験を提供するのが効果的です。例えば、商品に関する意見交換会やファンのみの新商品お試し会、ワークショップなどを開くのもいいでしょう。ファンが参加できる場を定期的に提供することでブランド全体が活気づき、ファン自身が忘れられないような感動を体験できるはずです。

信頼を高める

3つ目は信頼を強めることです。誠実な対応を積み重ね、透明性を確保することで、提供元の評価・評判を向上させることができます。そのため、企業はファンに対して誠実な対応ができているか常に自省する意識や、業務行程の細部まで開示して丁寧に説明することが必要です。また、顧客だけでなく社員の信頼もしっかりと育むようにしましょう。

これら3つの方法を着実に積み重ねていくことで、ファンを生み出し、強固なファンベースが構築できるでしょう。

まとめ

今回はファンベースの概念や重要性、メリットについてご紹介しました。

これからの時代を乗り切るためには、顧客をビジネスライクな関係とみなしてしまうのではなく、一人のファンとして企業を支えてくれる存在である意識を持つことが重要です。

顧客との良好な関係を維持していくためにも、説明したポイントを参考に良い土台づくりを目指しましょう。

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