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Know-how / 2020.06.30

日用消費財メーカーのためのLINE公式アカウント分析事例「SUNTORY みんなの炭酸!」

カスタマーエンゲージメント向上のため、ユーザーにとって身近なコミュニケーション手段を使うことは非常に重要です。LINEは、日本においては最もアクセスしやすい接点であると言えるでしょう。

今回はオプト社に、支援先のサントリー様の公式アカウント「SUNTORY みんなの炭酸!」の事例を挙げながら、LINEを使ったカスタマーエンゲージメントの取り組み方法を寄稿していただきました。

目次

日用消費財メーカーの価値創造モデルは転換期に来ている

一般的に直接販売を行わない飲料、食品、化粧品といった日用消費財メーカーは、長らく自社商品の使用ユーザーと直接コミュニケーションを取る手段を持っていませんでした。しかし、スマートフォンが普及した現在、LINEなどのチャットツールやfacebook、TwitterなどのSNSがこうした状況を一変させました。

インタ―ネット上での顧客接点の獲得は、ブランドへの認知を高めるだけでなく、ユーザーのインサイトの把握、分析することに繋がり、データを活用した製品開発、マーケティングの足掛かりにもなっています。

特に、現在の消費トレンド形成において中核をなしているのは、24~39歳のミレニアル世代と言われており、デジタルチャネルに精通した層です。

メーカーが彼らをターゲットとする場合、デジタルを活用したコミュニケーションを行っていくことが不可欠となります。

これまでマス・コミュニケーションや棚取りを重要視してきた日用消費財メーカーの価値創造モデルは、大きな転換期を向えていると言えるでしょう。

日用消費財メーカーがユーザーとつながるための”LINE”という手段

日用消費財メーカーはこれまで様々な販促キャンペーンをオフラインで実施していました。例えば、商品に貼られたシールを集めてハガキで応募すると、抽選で100名様に景品が当たるといった「マストバイキャンペーン」です。こうしたオフラインのキャンペーンではユーザーの行動データを取得し可視化することも、応募によって個人情報を取得できたユーザーと継続的なコミュニケーションを図ることもも困難でした。しかし、キャンペーンをデジタル化することでこうした問題は解決されます。

一例として挙げられるのが、QRコードの利用です。

ユーザーは、商品に印刷あるいは貼付されたQRコードをスマートフォンのカメラで読み取ることで、キャンペーンに参加するためのシリアルコードが既に入力された状態の応募画面にアクセスすることができます。これが実現できるのはキャンペーンLPを用意してメールアドレスを入力するか、自社アプリを作成するか、LINEの公式アカウントを使用するかの3択になります。

①キャンペーン用ランディングページ(LP)

キャンペーン用のLPを用意する場合、ユーザーにはメールアドレスなど連絡先を記載してもらう必要があります。メーカーにとっては、ユーザーの連絡先を取得できるほか、メッセージ配信のコストがかからないというメリットがあります。一方、ユーザーにとっては、せっかくシリアルコードが自動入力されているのに、個人情報を手入力しなくてはいけないという手間が発生してしまい、手軽さにかけます。この一手間が増えるだけで、キャンペーンの応募者数は一気に減ってしまいます。

②自社アプリ

自社アプリを利用する場合、ユーザーはアプリにログインしておくだけで簡単にキャンペーンに応募できます。アプリならではのシームレスでリッチな体験をユーザーに提供できますが、当然アプリを事前にダウンロードしてもらう必要があります。また、メーカーにとってもユーザーが継続して利用してくれるようなアプリを作り運用していくことは簡単なことではありません。

③LINE

最も手軽かつ、手広くキャンペーンを展開できるツールがLINEです。いまやLINEは日本のSNSにおいてトップのユーザー数を誇り、10代~30代での利用率はいずれも約85%を超えています。

また、キャンペーン参加時のインセンティブとしてLINEポイントやAmazonポイントを即時にユーザーに付与できるのも大きなメリットです。ただし、LINEのメッセージ配信には配信数に合わせてコストがかかるので、メールやアプリのPush通知のように気軽に送信することができません。

配信にコストがかかってしまうことがLINEの最大の懸念ですが、配信するメッセージ毎にどのユーザーへ送信するかを選択できるため、データを基にPDCAを回し、ROIを改善していくことも可能です。

このように、一定以上のコストをかけてユーザーとのエンゲージメントを高める施策を打つ場合、LINEは非常に有効な施策であると考えられるでしょう。

出典: モバイル社会研究所

サントリー様で行ったLINEデータ分析事例

ここまで、日用消費財メーカーがLINEを使用するメリットをご説明してきました。しかし、LINEはユーザーが気軽に企業の公式アカウントへ友だち追加ができる反面、容易にブロックもできるため、ユーザーの興味を引くキャンペーンを企画していくことが重要になってきます。

LINEは、LINEが付与する一意のユーザーIDでユーザーの行動を把握することが可能です。ユーザーの行動をこのIDベースで分析することで、キャンペーンづくりのPDCAをリアルタイムに回すことが可能になります。ここからは、オプトがLINE公式アカウントの運用を支援しているサントリー様の事例をもとに、LINE上のユーザーデータを使ってどのような分析が可能なのかを実際に見ていきたいと思います。

サントリー様では、デカビタC、ペプシ、オランジーナといった炭酸飲料のカスタマーエンゲージメントを高めることを目的に、LINE公式アカウント「SUNTORY みんなの炭酸!」を運営しており、1つのアカウント上で各銘柄のマストバイキャンペーンを実施しています。

「SUNTORY みんなの炭酸!」LINE公式アカウント

                             

公式LINEアカウントでのキャンペーン導線

ここからは「デカビタCのキャンペーン」「ペプシスペシャル ゼロのキャンペーン」の2つのキャンペーン実施時のデータをもとに、下記3つを軸に、それぞれのポイントを解説していきます。

・着実に初回応募を促す方法
・キャンペーン内容の違いと1ユーザー当たりの応募回数の相関
・1ユーザー当たりの応募回数増加方法

分析対象キャンペーン

①:デカビタCのキャンペーン
キャンペーン内容: 1回シリアルコード送信ごとに抽選でLINEポイント500ポイント付与
当選回数上限: なし
実施期間: 2020年1月27日〜3月31日

②:ペプシスペシャル ゼロキャンペーン
キャンペーン内容:  2回目以降のシリアルコード送信ごとにもれなくLINEポイント50ポイント付与
当選回数上限: 15回
実施期間: 2020年4月13日〜6月30日

応募回数の比率から仮説を考える

対象の2つのキャンペーンのQRコードを経由してLINE公式アカウントに友だち登録したユーザーを抽出しデータを分析していきます。

データを見てみると、2つのキャンペーンのQRコードを経由して友だち登録したユーザーのうち、シリアルコデータを見てみると、2つのキャンペーンのQRコードを経由して友だち登録したユーザーのうち、シリアルコード送信(以下「応募」と呼びます)を2回以上行っているユーザーが40%以上いることが分かります。

こういったマストバイのキャンペーンでは、アナログなキャンペーンと比較して複数回応募しているユーザーの割合が多くみられます。これはユーザーが使い慣れているLINEを活用したことで、キャンペーンへの参加のハードルが下げられていると考えられます。

これに対し、50%のユーザーは1回しか応募しておらず、友だち追加したものの1回も応募していない(応募回数0回)ユーザーにいたっては9%となります。これらのユーザーに複数回応募してもらうことが、エンゲージメントを高める上で重要になってきます。

特に気になるのは、1回も応募していないユーザーです。QRコードを読み込んだものの1回も応募していないユーザーが発生する背景を仮設立ててみます。

応募回数0回のユーザーは、QRコードを読み込んだにも関わらずシリアルコードを送信しなかったユーザーです。これは、シリアルコードを送信する必要があることをユーザーが認識できていなかった可能性があります。

QRコード読み込み時のLPにはフローの説明を記載していますが、ここを読まずに遷移したユーザーがQRコードを読み込んだ後に何をしてよいか分からなくなってしまったという仮説が立てられます。このようなケースの場合、QRコード経由で友だち登録した際のWelcomeメッセージで、自動で入力されたシリアルコードを送信して応募完了することを伝えるといった対策が考えられます。

キャンペーン内容の違いが応募回数に与える影響を分析する

続いて、応募回数2回以上のユーザー割合を見てみます。

デカビタCのキャンペーンに2回以上応募したユーザーは35%、ペプシスペシャル ゼロのキャンペーンに2回以上応募したユーザーは87%と、ペプシスペシャル ゼロのキャンペーンに応募したユーザーの割合の方が圧倒的に多いことが分かります。それぞれのキャンペーンで2回以上応募したユーザーの割合に、ここまで大きな違いがでている理由を仮説立てていきます。

デカビタCのキャンペーンは当選した際にもらえるポイントは、ペプシスペシャル ゼロのキャンペーンの10倍で、一見こちらの方がお得感は感じられやすいです。しかし、デカビタCのキャンペーンは、応募ごとに抽選が発生するのに対し、ペプシスペシャル ゼロは2回応募すれば必ずもらえるキャンペーン内容になっています。

「2回応募すれば必ずポイントが貰える」という、分かりやすく短期的に受け取れるインセンティブが、継続してキャンペーンに応募したいというユーザーのモチベーションに繋がっていると考えられます。

そのため、デカビタCのキャンペーンにおいてキャンペーンに複数回応募するユーザーを増やすためには、キャンペーンで付与されるポイント数やその仕組みを変えていく必要があると考えられます。一方で応募者数はデカビタCのキャンペーンの方が多く、これは一度にもらえるポイントの大きさがユーザーの応募のモチベーションを上げていると考えられます。

このモチベーションを維持しながら、段階的なポイント付与を検討してもよいかもしれません例えば、抽選によるポイント付与額はそのままに、2回目の応募で必ず貰えるポイントを段階的に設け、ポイントを貰えたという成功体験を作ることでモチベーションを維持してもらい、応募総数と応募回数どちらも向上する可能性が高まります。

過去当選経験がその後の応募回数に与える影響を分析する

さらに応募回数が多いユーザーを見ていくと、デカビタCのキャンペーンに3回以上応募したユーザーの割合は21%、ペプシスペシャル ゼロのキャンペーンに3回以上応募したユーザーの割合は56%と、ペプシスペシャル ゼロは2倍以上多い結果となっています。

これは、「ポイントを受け取った経験の有無」が、その後の継続的な応募のモチベーションにつながっているのではないかという仮説が立てられます。ペプシスペシャル ゼロのキャンペーンでは2回以上応募すれば必ずポイントが貰えるため、成功体験を積んだユーザーが2回目以降も応募し続けていると想定されます。

この仮設を検証するため、デカビタCのキャンペーンにおいて、1回目の応募で当選したユーザーと当選しなかったユーザーの応募回数の違いを比較してみましょう。

これを見ると、デカビタCのキャンペーンに2回以上応募しているユーザーのうち、当選経験があるユーザーは55%、当選経験がないユーザーは34%と、当選経験があるユーザーの方が21%も多いことが分かります。

この21%の増加分のうち20%が3回以上デカビタCのキャンペーンに応募したユーザーで占められています。当選経験がないユーザーの応募平均値を100%とすると、1回目で当選したユーザーの応募平均値は166%になることが分かりました。

1回目応募当選応募回数平均値
当選166%
未当選100%

ポイントを受け取った経験があることはキャンペーンに再度応募する非常に高いモチベーションになっており、応募回数を重ねる理由になっていると考えられます。そのため、デカビタCのキャンペーンでは付与ポイントを少なくして当選確率を上げ、ポイントを受け取った経験のあるユーザーを増やし、応募回数を増やすといった施策も有効かもしれません。

キャンペーンに1回のみ、2回のみしか応募していないユーザーの引き上げ施策

次に、キャンペーンに応募回数が少ないしユーザーを見ていきます。デカビタC経由では1回しか応募していないユーザーが64%、ペプシスペシャル ゼロでは31%のユーザーが2回しか応募していません。

特にペプシスペシャル ゼロの2回のみ応募ユーザーに関しては、一度当選を経験しているにも関わらず多くのユーザーが2回の応募に留まっています。

アカウントが嫌われてしまっているのではないかという仮説のもと、企業アカウントへの好意度を測るため、アカウントのブロック率を参考に見てみます。

結果、1回しか応募していないユーザー、2回しか応募していないユーザーどちらの場合も1ヶ月以内のブロック率は30%を下回っています。アカウントが嫌われていることが原因で応募がされないわけではないことが推測できます。

残る仮説として、「複数回応募できること」「複数回ポイントが受け取れること」が伝わっていない可能性が考えられます。

1回または2回応募してからしばらく応募がないユーザーに対して、複数回ポイントが受け取れることを伝えるメッセージ配信も一つの施策としてあげられます。本アカウントにおいて、友だち追加から1ヶ月後のアカウントフォロー率は7割を超えているため、きちんとメッセージは届くはずです。

また、下記のグラフを見ると、8割のユーザーが1回目応募から12日目までに2回目応募をしていることが分かります。多くのユーザーは記憶が新しいうちに連続して応募しており、時間が経つほどキャンペーンの存在は忘れらてしまいます。そのため、再応募を促すメッセージは、12日目以降などで出すことが効果的だと思われます。

まとめ

これまでユーザーと直接のつながりを持てなかった日用消費財メーカーも、スマートフォンとLINEの普及により直接ユーザーと1対1でコミュケーションを取ることが容易になりました。また、LINEが付与するIDでユーザーごとの行動を把握することも可能になりました。

市場環境はめまぐるしく変わっており、競合の動きも非常に早くなっています。この環境に素早く適応し、これまで以上にカスタマーエンゲージメントを高める施策を実施していくためには、手軽かつ幅広く実施できるキャンペーンを通じてユーザーを分析し、データドリブンにPDCAを回していく必要があるのではないでしょうか。

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