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Know-how / 2020.02.21

真実の瞬間とは?経営改善につながる重要概念を詳しく解説

時代の変化とともに、顧客が満足する瞬間は異なっていきます。この顧客の満足する瞬間を「真実の瞬間」と呼び、この真実の瞬間を上手く活用することが現在のマーケティングの主流となっています。

しかし真実の瞬間がどのようなものなのか、具体的にイメージが湧きにくいという方も多いでしょう。

この記事では、真実の瞬間とはどういった概念なのか、そしてデジタル時代における真実の瞬間について紹介します。

目次

真実の瞬間とは

「真実の瞬間」とは、顧客満足の実現を考えるために重視されているキーワードの1つです。主にサービス業界で使われる言葉で、従業員が接客で消費者と接する僅かな時間のことを言います。

顧客は従業員の態度や店舗の設備に対する印象だけで、企業全体の印象を評価します。一度与えてしまった悪い印象は、簡単には払拭できません。顧客との僅かな接触時間でいかに好印象を与えられるかが、顧客満足実現に重要なポイントとなるのです。

真実の瞬間が広まったきっかけ

「真実の瞬間」をビジネス用語として初めて使った人がヤン・カールソンという人物です。彼は39歳という若さでスカンジナビア航空の最高責任者に就任し、当時赤字経営だった会社をたった1年で経営回復させた伝説的な人物でもあります。

ヤン・カールソンは同じ航空会社である「リンネフリュ」を再建させた手腕を買われ、スカンジナビア航空の最高責任者に抜擢されました。リンネフリュでは大幅なコストカットを行うことで経営を立て直しましたが、スカンジナビア航空はすでに大幅なコストカットを行ったうえで業績が低迷してしまっていました。そのため、コストカットとは別に「顧客のサービスを満足する瞬間」について考察したのです。

年間1,000万人の搭乗者に対し、従業員5人が1人の顧客と接点を持つ時間は僅か15秒ほど。「この約15秒間の顧客と接する時間(真実の瞬間)を充実させることこそが経営の成功に繋がる」と考えたカールソンは、顧客のニーズに最適な対応ができるよう社員の育成に注力し、根本からの意識改革を行ったことで経営回復を実現させました。

カールソンは後に自叙伝で「企業は顧客の指示があってこそ成り立っているもので、顧客と日常的に接している従業員を大切にすることが企業成長に繋がる」と述べています。

実際、カールソンは真実の瞬間にあたる短い時間で最善のサービス提供ができるよう、現場に対して積極的に権限移譲を行いました。この他にも徹底して顧客視点のサービス改革を進めたことで、スカンジナビア航空の経営回復につながったのです。

2種類の「真実の瞬間」

ヤン・カールソンが「真実の瞬間」を提唱してから時代は移り変わり2000年。経営不振に陥ったアメリカP&Gの業績を最高責任者として回復させたアラン・ラフリーは、新たに2つの真実の瞬間を提唱しました。

ここでは、ラフリーが2005年に新たに提唱した2つの真実の瞬間である「第1の瞬間」「第2の瞬間」についてご紹介します。

「第1の瞬間」とは

「第1の瞬間」は、顧客が店舗である商品を購入するかどうかを決断する瞬間のことです。

調査によると、この第1の瞬間にあたる時間は3~7秒ほどと言われています。その瞬間に、顧客はパッケージや価格など様々な情報を総合して、購入するかどうかを判断しています。

真実の瞬間といわれる第1の瞬間で顧客満足を実現させるため、アラン・ラフリーは店頭での広告を支援する部署を新設し、顧客を巻き込むことで新規顧客獲得・顧客満足の実現を成功させました。

第1の瞬間で顧客満足実現を目指す際の注意点としては、実際に商品売り場を掌握している小売店は、必ずしもメーカーに利益をもたらしてくれる協力的な存在ではないという点です。

アラン・ラフリーの場合、小売店とメーカーがともに利益を得るために、メーカー側の営業組織を一度解体し、新たな顧客ビジネス開発組織を立ち上げることで共栄を目指す、という解決策を取りました。

具体的な施策例としては、提携小売店の周辺に各分野の専門組織を新設、顧客の興味を惹く広告を展開したり細かな在庫発注をバックアップしたりといった情報共有システムを開発することで、双方ともに利益を得るといった施策がこれにあたります。

「第2の瞬間」とは

「第2瞬間」は、商品を購入後に顧客が実際に商品を使用し、再度購入するかどうかを検討する瞬間のことです。第2の瞬間は顧客の継続的なサービス利用に関わる重要な瞬間と言えます。

購入した商品が顧客の期待値を満たせなかった場合は再購入の確率は低くなり、逆に満足できるものであれば商品に対する信頼が生まれ、継続的な購入が期待できます。第2の瞬間で顧客満足を実現させるためには、顧客について明確に理解する必要があるのです。

アラン・ラフリーはこうした課題を、特定の分野ごとに独自のオンラインコミュニティを導入し、顧客の心理を正確に把握するための施策を行うことで克服しようとしました。

2つの瞬間を提唱した背景

アラン・ラフリーがなぜ2つの瞬間を提唱したかというと、最高経営責任者だった当時のマーケティング概念では「プッシュ型マーケティング」が主流になっていたからです。

プッシュ型マーケティングは商品技術に対する「こだわり」に比重を置くマーケティング手法です。商品そのものをメインとして顧客の購買意欲を促進させる活動(プロモーション)は二の次という考え方でした。

当時のP&Gはこうしたプッシュ型マーケティングを繰り返し行い、商品開発コストを大幅に注ぎ込んでいましたが何度も失敗しています。この問題を解決するためには、技術重視の企業姿勢を顧客重視へシフトさせることが必要でした。

ラフリーは「顧客がボスである」というスローガンを掲げ、顧客の意見を定期的に聞くことを従業員に徹底させることで、7年で売上を倍まで伸ばし、純利益3倍という業績を上げることに成功したのです。

ピート・ブラックショウが提唱した「第3の瞬間」

2006年に提唱された「第3の瞬間」は、「第1の瞬間」「第2の瞬間」を提唱したアラン・ラフリーと同じP&Gのピート・ブラックショウが新たな概念として提唱したものです。

この第3の瞬間は、定期的に商品を購入している一部の顧客が周囲へ自社商品を勧め、口コミなどを行ってくれる行動のことを指しています。第3の瞬間によって顧客獲得に至るまでの新たなスタイルを確立し、マス広告に頼りきりな従来の広告手法からの脱却を果たしました。

デジタル時代に重要視される「第0の瞬間」

アラン・ラフリーが「第1の瞬間」「第2の瞬間」を提唱してから、インターネットが普及し始め、現在では顧客の行動がネットに依存する場合が大半を占めるようになりました。

それまでテレビCMや店頭での検討で商品を購入するかどうかを決めてきた顧客が、事前にサイト上で商品情報を検索することで、意思決定をする時代となったのです。

そこでGoogleは、2011年にインターネットで収集した情報を用い購入の意思決定を行う瞬間を新たな真実の瞬間、「第0の瞬間」として提唱しました。

第0の瞬間の主な情報源は「検索結果」「インターネットを利用した商品比較」「商品ブランドのウェブサイト」などで、2010年に行われた調査では商品購入の判断材料となる情報源は平均5個だったのに対し、翌年にはその倍である平均10個へ急増しています。

また、商品を購入する意思決定に影響を及ぼした瞬間についても、第0の瞬間が8割、第1の瞬間が7割となっており、第0の瞬間の影響度のほうが上回っています。

さらに約8割の消費者が、商品購入にあたって、スマートフォンで事前に商品やサービスについて調査していることも明らかになりました。

「第0の瞬間」で勝つためには

では、その「第0の瞬間」で顧客に選ばれるためには、企業はどのような施策を打つべきなのでしょうか。施策における重要なプロセスと、SEO対策についてご紹介します。

「第0の瞬間」で選ばれるためのプロセス

グーグルは、「第0の瞬間」で顧客に選ばれるために、次の5つのプロセスを経ることを提唱しています。

1つ目は「第0の瞬間の責任者を決め、予算を渡す」ことです。

まず重要なことは、第0の瞬間の責任者を誰に任せるかという点です。特に企業の課題に対して先入観を持たずに、多面的に捉えた課題解決が得意な人材であるほど安心して責任者を任せられるでしょう。任命された責任者は与えられた権限や予算に基づき、企業パートナーと協業で戦略を練ることになります。

2つ目は「想定顧客と、その第0の瞬間を発見すること」です。

顧客がどのような形で検索をして自社の商品情報まで行きつくのかを明確に理解する必要があります。例えばGoogleでは、顧客目線の「商品」「商品+口コミ」「商品+人気やおすすめ」の3つの検索ワードで、明確に顧客の検索動機を理解することを推奨しています。この段階では、企業側が検索して欲しいワードと顧客が実際に検索するワードが違うことをあらかじめ把握しておくことが大切です。

3つ目は、「顧客の質問に応えること」です。

顧客が検索したワードから顧客の欲している情報を把握すると同時に、顧客からの商品情報に関する疑問に対して、納得のいく回答をする努力が必要となります。

例えば顧客がペットのエサの原材料に関する情報を知りたい時「ペット+エサ+原材料」などで検索されることが多いでしょう。そんな時、もしも検索結果で原材料の情報ではなく、商品の割引情報が掲載されていたらどうでしょうか。その内容では顧客の「知りたい」というニーズに応えられていないため、関心を惹くことはできません。この場合に企業が取るべき適切な対策は、「原材料情報の記載されているページに割引情報も掲載すること」です。この段階では、顧客がどういった情報を期待してそのページへたどり着くのかを明確に想定することが大切です。

4つ目は、「第0の瞬間を最適化すること」です。

顧客が抱える疑問に対して企業がいかに最適な答えを導き出せるかで、第0の瞬間は最適化することができます。この段階では、顧客はどういった質問をしているのかを観察・分析し、質問している内容から答えを事前に準備しておくことが大切です。

5つ目は、「素早く行動すること」です。

第0の瞬間では、対応の完璧さよりもスピーディーかどうかが重視されます。1年間のプランを明確に練り着実に進めてゆくよりも、その場その場での臨機応変な対応が必要となるのです。失敗を恐れず、ためらわずに挑戦を繰り返し多くのノウハウを学ぶことで、企業の事業成功への道のりを最適化していくことができるでしょう。

SEO対策が重要

第0の瞬間で顧客から選ばれる企業になるためには、「SEO対策の強化」も重要なポイントとなります。

まず第一に、たくさんの人に自社商品を知ってもらうには、検索エンジンからの自社サイトへのアクセス数を増やしていかなければなりません。そのためSEO対策の強化を行うことで、競合企業から一歩抜きんでた、第0の瞬間で顧客から選ばれる企業にすることができます。

SEOでの最低条件は、「自社の企業名で検索にヒットさせる」「自社商品名で検索しヒットさせる」の2つです。しかし企業や商品に対する認知度が低ければ、成果を上げるには難しい面があります。

そこで例えば「〇〇初心者の使い方」「〇〇の選び方」などのワードでも検索結果にヒットするよう、教育系コンテンツを利用したSEO対策をすることで顧客獲得を目指しましょう。自社サイトに教育系コンテンツを併せて設置しておくことで、商品の認知度とともに信頼性の向上も期待でき、第0の瞬間で有利となるでしょう。

まとめ

マーケティング上の重要な概念とされている「真実の瞬間」は、主にアメリカで提唱され、時代の流れに応じて変化してきました。現在では世界的に、インターネット上で商品購入の意思決定を行う「第0の瞬間」を重視した施策がマーケティングの主流になりつつあり、日本でもその動きは加速しています。

日本には「日々人と触れ合う感謝と思いやり」という意味で使われる「おもてなし」という言葉があります。「裏表がない」「物を持ち成し遂げる」という2つの語源から来ている言葉です。

「真実の瞬間」は日本の商売の礎でもあるこの「おもてなしの心」と、「企業が顧客の動向に集中する姿勢」を、端的に表している概念とも言えるでしょう。

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