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Know-how / 2020.04.28

「顧客との関係性が問われる時代の到来」 #NEWWORLD2020 アナグラム 阿部氏、オイシックス・ラ・大地 西井氏

今、株式会社ホットリンクが主催するマーケティングカンファレンス「#NEWWORLD2020」が、2020年4月22日~5月1日にかけてオンライン開催されています。コロナショックが経済活動に大きく影響を与えるなかで、これからのマーケティング戦略をどう再構築すべきか、示唆に富んだ内容となっています。

今回のイベントレポートでは、アナグラム株式会社 阿部氏、オイシックス・ラ・大地株式会社 西井氏がゲストとしてご登壇されたセッションをまとめてお伝えいたします。

※次のイベントレポートはこちら

PROFILE

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    飯高悠太氏

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    株式会社ホットリンク 執行役員CMO

    広告代理店やスタートアップ企業で複数のWebサービス・メディアの立ち上げ、50社以上のコンサルティングを経験。2014年4月、「ferret」の立ち上げに伴い株式会社ベーシックに入社後、「ferret」創刊編集長、執行役員を務め、2018年12月末に退職。2019年1月より現職となる。2019年より株式会社ホットリンクで執行役員CMO(マーケティング責任者)を務め、支援企業のSNSコンサルティングを実施。

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    阿部圭司氏

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    アナグラム株式会社 代表取締役

    大手アパレルメーカー、Web制作会社を経てリスティング広告の世界へ。現在はリスティング広告の運営、改善、コンサルティングを手がける。CPAの改善だけにとらわれず、ビジネスの最大化を目指す施策を支援。福島県観光交流大使も務める。主な著書は「プロが教える Google Analytics 実践テクニック」「リスティング広告 成功の法則」「新版 リスティング広告 成功の法則」「いちばんやさしいリスティング広告の教本 人気講師が教える利益を生むネット広告の作り方」。

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    西井敏恭氏

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    オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員 CMT

    1975年福井県生まれ。2001年から世界一周の旅に出た際のWEBの旅日記が人気。帰国後、旅の本を出版して、ECの世界へ。各社でEコマースを10年ほど経験して、2013年末、前職のドクターシーラボを退社。南極など旅行して、2014年6月帰国。現在はオイシックスのCMT(チーフマーケティングテクノロジスト)として働きながら株式会社シンクロを設立。株式会社シンクロでは、CMOのアウトソース事業として大手通販、スタートアップの企業など数社のマーケティングを支援したり、企業と提携してデジタル事業を協業している。

目次

「不可逆な変化をポジティブに捉える」 登壇ゲスト:アナグラム株式会社 阿部氏

前提状況が変化し、セオリーが通じなくなった

コロナによってどのような影響を受けていますか?

阿部氏(以下、阿部):アナグラムが属する広告業界は大きく影響を受けており、緊急事態宣言後は広告の自粛がかなり増えています。特に、店舗ビジネスなどオフラインを前提としたところは辛いですよね。一方で、教育系やゲーム関連、一部のECは伸びています。

「卵を一つのカゴに盛るな」という言葉がありますが、ちゃんと分散して事業を行えているところは安定しているところが多いのかなと感じています。

この変化に対して、アナグラムはどのように対応していくのでしょうか?

阿部:正直、現時点では最適解は分からない状況です。ただ、クライアントの運用データが多く集まっているので、市場がどのように変化しているのかというパラダイムシフトは見ることができる状況にあります。

少なくとも、これまでのセオリーや各種フレームワークは、前提条件が変わるので今まで通りでは通じない時代がやってきたと見ています。

例えば、比較検討を前提とするようなBeforeコロナの時代のユーザー行動は変わると考えています。最近、皆さんがそういう比較検索をしたものって少ないですよね。なので、SEO自体の重要性は変わらないと思いますが、本当に施策として効くのかは再考する必要があります。

このように事業を存続させるためのマーケティング施策のポートフォリオは見直すことが大切です。

広告業界の在り方は変わっていきそうですね

阿部:直近で起こる変化として、短~長期含めて、売上に遠い広告施策は敬遠されるようになると思います。ROASをちゃんと見て、商売をちゃんと見つめなおすことが求められるなと。

加えて、顧客を勝たせないと未来はないことを意識しなければなりません。

満足ではなく、成功が求められる時代がやってくると思います。カスタマーサクセスという言葉が世の中に浸透し始めていますが、顧客の成功にコミットしている企業は少ないので、ここは業界としてしっかりやっていく必要がありますね。

不可逆な変化が起こる時代では、これまでの前提は通じない

変革が求められる時代において、何を意識すべきなのでしょうか?

阿部:一番大事なことは、前提を疑うということです。知識を詰め込むのではなく、柔軟に考えられることの方が求められると思います。「こんなに変わるんだ、凄いな!」と変化を追えることが大切です。

また、前提が日々変わっていくので、意思決定のスピードが重要です。加えて、この変化を悲観するのではなく、受け入れて、不可逆な変化の流れをポジティブに捉えることが出来ることも大事になります。

実際、私も最初は悲観的に感じていましたが、今では受け入れられるようになり、前を向けるようになってきています。

状況が変わったことで、消費者の行動はどのように変わっていくのでしょうか?

阿部:ユーザー側の行動においては、比較・検討といった行動は縮小化すると考えています。

では、何が大事になっていくかというと、DtoCのような思想が組み込まれたビジネスが優位になる時代がやってくるのではないでしょうか。

ユーザーの変化に対応するために、 企業としてのマーケティング活動はどう変えるべきなのでしょうか?

阿部:例えば、BtoBマーケティングの領域でいけば、物理的に会えないことを前提として戦略設計することが求められます。

これまでは営業マン勝負なところもあったと思うのですが、注力すべきチャネルは変わりますし、占めるウェイトもこれまで通りではありません。この設計から考えることが大切です。

また、店舗型のビジネスの在り方も変わります。そうなってくると付随するビジネス、例えば店舗物件を扱う不動産領域などの流れも変わってきます。この変化は対岸の火事ではなく自分たちにも影響を与えると考えて、変化に追随しなければなりません。

マーケティング以外だと、例えばリモートでクライアントワークをどう進めるかという話もありますよね

阿部:そこまで特別なことはやっていないですが、雑談が大事だと思います。雑談といっても、クライアントのためになる雑談が大事で、例えばリモートワークでどう家庭を上手くいかせるか、みたいな話をしています。

なので、本題に入る前のアイスブレイクの重要性を感じていますね。

大義で人を巻き込む力の重要性

この状況で上手くやっているなと感じる企業はありますか?

阿部:あまり言いたくないのですが、ホットリンクさんは上手くやっていると思います。笑 このカンファレンス開催までのスピード感は凄いです。

また、比較・検討がされない社会の起点はSNSにあると思っていて。このようなカンファレンスを通じて、自社の指名検索を増やしていくという方針は時代の流れにも合っていると考えています。

直接そう言ってもらえて、とても嬉しいです。笑

阿部:このような状況下では、「誰かのため」「社会のため」という大義で人を巻き込んでいける力は大事だと思います。ただ、この他者への奉仕精神はビジネスの根源にあると考えていて、そういう意味では原点回帰をすることが求められているとも考えています。

また、企業における経営の意思決定スピードの差は明確に出始めています。例えば、GMOさんは異常にスピードが早くて、SNS上での評価は一人勝ち状態です。

この経営の意思決定スピードは、企業を見極めるための判断軸になっていくのではないでしょうか。

ポジティブに捉えることが将来に繋がる

最後に、参加者へのメッセージをお願いします!

阿部:個人として感じていることに、このような状況だからこそ多様性は大事だと考えるようになっています。アナグラムには色々な考えのメンバーがいて、それぞれが違う意見を伝えてくれます。そして、どの意見も自分を後押ししてくれるんです。

なので、チームとして前を向いて変化に対してポジティブに変化していければと私は考えられるようになりました。

また、この考え方は一つの事象をどう捉えるかという違いでしかないのですが、この積み重ねは将来的に複利として効いてくると考えています。塵も積もれば山となる、ですね。

コロナと一緒にどう人生をより良いものにしていくか、この意識が大事だと思います。

「オンラインで完結する時代に」 登壇ゲスト:オイシックス・ラ・大地株式会社 西井氏

経営視点で考えると、需要が増え過ぎることにも課題はある

3社で仕事をされていますが、それぞれどのような影響が見られていますか?

西井氏(以下、西井):やはり事業形態や会社によって、それぞれ傾向が異なりますね。例えば、オイシックスは食のインフラとして注文は増えていますが、予定よりも増えすぎていて配送センターへの負荷が上がっており、新規顧客の注文はすべてお断りする状況になっています。

自分でやっているシンクロでは、eラーニングの事業を行っているのですが、需要は高まっていますね。僕自身、このタイミングで英語とかプログラミングを勉強し始めているので、学習ニーズは高まっていると思います。

また、もう一つメインで関わっている「LOVOT(ラボット)」も伸びていますね。LOVOTは、ペットのような立ち位置のロボットなのですが、自粛下において孤独を感じる人が増えていることから、こちらも需要が伸びていると感じています。

ただ、私はJリーグに関わる仕事もやっているのですが、オフライン駆動のビジネスなのでかなり影響を受けていますね。

オイシックス社における配送面など、人が関わる部分への影響にはどう対応されていますか?

西井:注文が殺到しているという状態は周囲から見るとポジティブに見えますが、経営観点で考えるとポジティブな面だけではありません。オイシックスのような野菜などの生鮮食品のECは、配送センターも特別仕様でやっており、ユーザーが困っているのに価値提供が出来ないという課題が顕在化しつつあります。

また、配送センターで働く人の不安に対して、どう向き合っていくかも考えなければなりません。まだ明確な打ち手はないのですが、可能な限り不安を解消出来る用に取り組みを進めています。

いきなり、オンライン完結の時代がやってきた

EC業界は追い風だと考えているのですが、実際はどうでしょうか?

西井:私はEC業界で20年くらい働いていますが、今までにない地殻変動が起きていると感じています。

例えば、LAVOTは購入するのに約30万円と高額なこともあり、ECだけで購入するというユーザーはこれまでほとんどいませんでした。

店舗に行って、現物を見て、自宅に戻って考えてからECで購入するということはありましたが、今では直接触らなくても購入するユーザーが一定数出始めています。これは私にとってかなり衝撃です。

他にも、ファッション領域では、SNSや広告を見てからECでそのまま購入するという行動が増えています。お店に行けないからECで購入すると。

そう考えると、いきなりECで完結する時代がやってきているのです。なので、販売する側も意識改革が必要だと考えています。

これらを考慮すると、間違いなくEC化率は上がると思います。食品ECの領域でも、これまでは近くにスーパーがあるから使わなかったけど、自粛下にあるから仕方なく使う。それでも使い続けることで、ユーザーの消費行動は変わっていきそうですよね。

オンラインで完結する時代になると、オンラインでの情報が増えていきそうですよね

西井:私もそう思います。なので、店舗に割り振っていた予算をオンラインに充てるという企業の方針転換は今後発生していきます。コンテンツを充実させないと生き残れない時代はもうすぐやってきそうですね。

また、企業が今後行っていくマーケティング活動ではデジタルシフトは避けられません。デジタル化を目的とするのではなく、手法として捉えて、どのようにユーザーと直接繋がるのかを設計することが求められます。

これはBtoBもBtoCも共通する考え方です。ユーザーと共に上手くやっていくためのマーケティング戦略を考えていかなければいけません。

自分が面白いと思えることに挑戦し続ける

話を少し変えるのですが、「Afterコロナ」という言葉をどう捉えていますか?

西井:正直、暗い気持ちにはなりますよね。ただ、変化は常に存在しています。例えば、20年前と今ではブログやSNSの発達によってオンラインコミュニケーションが活性化し、日常生活に大きな変化を与えています。

あと、過去を振り返ってみると、江戸時代は今のように旅行や観光もなかったわけですが、当時としての幸せはあったのだと思います。

そう考えると、変化はあって当然のものと考えて、適応していかなければいけません。

なるほど。生き方や働き方も変わっていきますよね

西井:そうですね。私自身も普段から変化することは考えているのですが、5~10年という長いスパンではそこまで考えれていないですし、そこまで考えれる人は凄いなと思います。数年前には、今やっていることは想像もしていなかったことも多いです。

ただ、明日とか明後日とか、わりと短期で変化することに対してどう対応するのかは考えるようにしています。深く考えすぎずに、面白いことに取り組んでいくことが出来ればよいと考えています。

ちなみに、色々なことにチャレンジする源泉はどこにあるのでしょうか?

西井:そこまでこだわりが強くなく、あんまり深く考えすぎないからだと思います。笑

例えば、オイシックスとシンクロを両立させ始めた時は、パラレルワークという言葉さえない時代に半分リモートみたいなことをやっていました。これは、オイシックスの代表である高島さんの「どっちもやってみたら?」というアドバイスをきっかけにスタートしています。

多くの人は「1つのことに集中しろ」って言うと思うのですが、この後押しがあって、自分でもやってみようと思えたからチャレンジしています。LAVOTも、代表の林さんが面白くて一緒に働いてみたいという感覚から飛び込んでいます。

なので、自分が面白いと思えることに挑戦し続けているという感覚です。やっぱり自分が好きなことはのめり込めますし、ずっとやり続けられます。ちなみに、色んな事に手を出していますが、どれもちゃんと継続しています。笑

なんでも楽しめることは強いのかもしれませんね。

今こそ価値観を変えるチャンスと捉えよう

最後に参加者の皆さんにメッセージをお願いします!

西井:みんなで変化に対応していきましょう! 「昔は良かった・・・」と過去にしがみつくのではなく、「新しい世界にも楽しみはある!」と考えて、前を向いていくことが大事だと思います。

私はバックパッカーをやっていて、140ヵ国ほど旅をしているのですが、20代の頃は本当にお金がありませんでした。ただ、お金がない旅の中でも、その環境での幸せはありましたし、楽しかったと振り返ってみると感じます。

今は価値観を変えるチャンスと捉えることも出来るので、みんなで楽しむことが出来ればと思います!

「顧客との関係性をいかに構築するかが大事」 モデレーター:飯高氏

最後に、私から阿部さんと西井さんのお話を振り返りつつ、まとめることが出来ればと思います。

阿部さんのお話からは、前提を疑うこと、その中でポジティブにいることの大切さについてお伝えいただきました。また、カスタマーサクセスのような顧客の成功に向き合うことが大事であるという姿勢は、私も共感しています。

西井さんのお話では、消費者行動が変わっているという指摘がありました。オンラインで完結する時代の到来を見据えて、これをチャンスと捉えて、デジタルシフトしていくことが大事であるなと考えています。

最後に、お二人の共通点として挙げられるのが、ビジネスにおいて思想がより重要となるということです。顧客との関係性をどう上手く構築するかは、どの企業においても共通のテーマであるなと思います。

参加者の皆さん、ご視聴いただき、ありがとうございました!

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Author Profile

  • hoozm

    大学時代に公共選択学会に提出した学術論文が最終優秀賞を受賞した経験からライティング活動を開始。大学卒業後はベンチャー企業数社にて、セールス、マーケティングコンサル、メディア立ち上げ、新規事業開発、採用業務などに携わる。現在は、Repro株式会社でマーケティング業務に従事しながら、個人でも寄稿やマーケティング支援を実施。趣味で運営している個人ブログでは「マーケティング アイドル」の検索1位を数年間キープ。カスタマーマーケティングmeetup主催。

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