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Know-how / 2020.02.15

NPSとは?基礎知識と計算方法・調査方法について徹底解説

「NPS」は近年になって日本国内で広まり始めたビジネスにおける指標で、「顧客満足度」と並んで経営改善策のひとつとして大手企業を中心に導入されつつあります。
しかし、NPSについて詳しく知らない、導入方法が分からないという方も少なくないでしょう。
今回は、NPSの概要や導入方法、主なメリットについてご紹介します。

目次

NPSとは

NPSとは、「ネットプロモータースコア」の略称です。

顧客ロイヤルティを測る指標であり、企業に対する信用や愛着といった要素を数値化できる指標です。NPSは感覚的な要素を測れる指標として有効性が認められており、欧米の売上上位企業の3割以上がNPSを採用しているとされます。

IMJが実施した統計調査によると、2018年の日本におけるNPS導入率は10.1%であり、2016年と比較すると1%増加している状況です。一方で顧客満足度調査は2018年時点で52.1%の企業に導入されており、NPSに比べて認知度が高い項目だと分かります。

どちらも顧客を測る重要な指標ですが、NPSの重要度は今後ますます高まるでしょう。

NPSの調査方法

NPSを調査する際には、「このサービスを身近な人に紹介する可能性はどのくらいありますか?」といった質問を0~10段階の評価形式で行います。

点数が高いほど評価も高く、0~6点は批判者、7~8点は中立者、9~10点は推奨者として分類します。

この1問のみで顧客からの総合的な信用を測れることがNPSの特徴です。

なお、実際にNPSを実施する際には調査精度を上げるため、点数を決めた具体的な理由や、改善してほしい点などを合わせて質問することが一般的とされます。

9~10点の推奨者は、企業が提供するサービスに対して高い満足度を持っているユーザーです。企業にとっては売上アップにつながる顧客層なので、推奨者をできるだけ増やしていくことがNPSの目的と言えます。

7~8点の中立者は、サービスを受動的に利用しているユーザーで、推奨者と比べるとリピーター率が低くなる傾向があります。条件次第では他社へ流れる可能性が高いため、顧客として保持し続けるにはサービスの品質向上に努める取り組みが必要です。

最後に、0~6点の批判者は文字通り不満を持っているユーザーで、企業に対して否定的なクレームや悪評を広める可能性がある顧客層です。批判者が増えると企業のイメージダウンにつながるので、企業努力によって推奨者へと転換していくことが重要になります。

なぜ「薦める可能性」を尋ねるのか?

では、どうしてNPSでは「他者に薦めるか」という質問をするのでしょうか?

理由の一つは、他者に対して薦めるかどうかを問うことで、商品に対する満足度を厳密に判定してもらうためです。

物事を紹介する際には少なからず責任が発生します。自分が十分に満足したものなら他人にすすんで薦めようとしますが、少しでも不満点があれば薦める可能性は下がります。

他者基準にすることで、この判断を厳密にさせる効果があるのです。

NPSの計算方法

企業のNPSを計算する際には、推奨者の比率から批判者の比率を減算することで算出できます。

例えば回答者が10人の場合、推奨者が2人、批判者が4人であれば、推奨者20%-批判者40%で、NPSは-20ポイントです。実際の計算式は「(推奨者数-批判者数)/(回答者総数)×100」となっています。

批判者とされる数値が0〜6と広いことから、NPSは多くの場合マイナス値になります。

NTTコムオンラインが実施しているNPSランキング&アワードの2019年版によると、ほとんどの部門において業界平均値、第1位の企業ともにNPSはマイナス値となっています。

なお、実際にNPSを計測する際には、誤差を小さくできるように一定以上のサンプル数を集めることが望ましいとされます。統計学的に見ると、サンプル数が400以上であれば誤差は±5%、2,000以上であれば誤差は±2%です。

サンプル数を増やすほど統計の信頼性と必要経費は高くなるので、自社の予算状況とプロジェクトの重要度を考えあわせて収集数を決めることをおすすめします。

なぜNPSを計測すべきなのか

NPSは近年になって各業界から注目されつつありますが、顧客満足度との違いが分からなかったり、実際に導入する必要性が理解できなかったりする方もいるかもしれません。

続いては、企業が自社のNPSを計測することにはどういった意味があるのか、顧客満足度とNPSの違いも併せてご紹介します。

NPSと顧客満足度の違い

NPSと顧客満足度の違いとして大きいのは、NPSのアンケート結果は収益性に大きく連動するという点です。

NPSが高い企業は長期顧客の比率や企業成長率が高い傾向があります。食品業界や自動車業界など、今や多くの分野で信頼性が高い指標としてNPSが用いられています。

一方、顧客満足度調査は顧客からの短期的な評価を把握するのに適した調査方法です。

そのため、調査を実施した瞬間での「満足」「やや満足」といった印象を測ることはできますが、商品やサービスを他者へおすすめする可能性や、回答者がリピーターになる確率などを測るには、顧客満足度調査は不向きなのです。

米国のサトメトリックス社の調べによると、顧客満足度調査で良い評価をした顧客の8割がサービスを解約しているというデータがあります。顧客満足度の指標は、将来の収益性と連動しないことも多いのです。

また、NPSを作り出したベイン・アンド・カンパニーによると、NPSは顧客満足度調査で測りきれない要素を計測する目的で作り出された指標であるとされます。

売上高との相関関係がより強く、高スコアを獲得することで売上アップや事業成長性の向上といったメリットが得やすいのがNPSの特徴です。

NPSを計測する意味

企業が自社のNPSを計測することで、自社製品の価格や品質に対する評価を把握しやすくなります。自社が熱心なリピーターやロイヤルカスタマーをどれだけ確保できているかを調査するうえで、NPSは優れた指標です。

サトメトリックス社が発行しているホワイトペーパーによると、業界内でNPSが上位に位置する企業は高い事業成長率を保っているようです。つまり、NPSを上げることで企業の売上アップやシェア拡大につながる可能性が高いと言えます。

そのため、NPSを実施することによって得られたデータを参考に、批判者や中立の人を推奨者へと変えられるよう、サービス改善を進めていく必要があります。NPSの実施とサービス改善を継続的に進めて、効率良くPDCAサイクルを回すことが大事です。

ちなみに、NPSの値が業界でトップの企業は、他企業と比較して2倍の売上高成長率を上げているという統計もあります。NPSと売上高成長率には相関関係が認められるので、企業にとってNPSを計測することは、自社の成長を促すことにもつながります。

NPSを利用するメリット

NPSを導入する主なメリットとしては、導入コストが低く、経営改善に役立つデータを収集しやすいことが挙げられます。

NPSは少ない質問数で調査することもできるため、顧客から回答を引き出しやすい点が強みです。回答を受け取る企業側にとっても、評価分析方法がシンプルで、導入目的を簡単に説明できるメリットがあります。

業界内における自社の評判を見る際にも、競合他社とNPSを比べるのは手軽で信頼性が高い手法です。定期的にNPS調査を行い、経過を確認しながら改善を進めることで、収益性向上につながっていきます。

NPSが高い推奨者は対象のサービスに対して好意的な口コミを発信する頻度が高く、企業が提供するサービスを長期的に利用する意向が強いとされます。

NTTコムリサーチが2017年に航空会社の利用者を対象に実施した調査によると、「サービスを継続的に利用したいか」という設問に対して、推奨者はNPSの11段階中で平均9.5、批判者は平均5.7という結果が出ています。推奨者の方が3.8点高く、長期顧客になる可能性が高いです。このように、実例から見てもNPSを活用する中長期的なメリットが理解できます。

そして、顧客と直接対面しない業種の人にとっても、NPSが変動することで顧客の反応を確認できるのはモチベーション向上につながります。現場の従業員から経営層まで、顧客の声を直接確認できるというのはサービス向上にも役立つことでしょう。

その他、自社製品に対する口コミの拡散やフィードバックの増加など、NPS向上を目指すことは企業にさまざまなメリットをもたらします。顧客から直接フィードバックを得られると、低コストで有効な施策を打ち出しやすくなるのが、NPSの強みといえるでしょう。

また、顧客のみならず、従業員NPS(eNPS)を実施することによって、自社の福利厚生や業務体系の改善、離職率の改善といったメリットも見込めます。

従業員NPSが高い職場は、従業員の就業意欲も高く、継続的に成長が見込める職場環境が整っていることを示します。

なお、顧客からのフィードバックや点数といったデータは従業員NPSに役立つデータです。2種類のNPSを併用することで効率的に業務水準を向上させていくことができるでしょう。

NPSを利用する際のポイント

自社にNPSを導入する際には、会社全体でNPS向上に取り組める環境を構築することが重要です。企業成長率との相関性や導入の簡易さなど、担当者がメリットを正しく理解し、経営層や従業員に説明する必要があります。

従業員にNPSの説明を行うときは、NPSの実施が従業員の負担にならず、モチベーション向上に役立つといったメリットを強調しましょう。実際に導入した後は、顧客から寄せられたフィードバックを従業員へ還元し、業務水準を上げていく過程に移るようにしてください。

なお、NPSの概要やメリットを職場内で上手く共有できていないと問題を引き起こしやすくなるため、実施の際には詳しく説明するようにしましょう。

また、経営層にNPSの必要性を説明する際には、業界大手によるNPSの導入事例や競合他社のNPS導入状況といったデータを用いることをおすすめします。導入によってどれくらい収益が見込めるかを合理的に説明できるように資料を揃えておくことがポイントです。

しばらくNPSを運用してサンプル数が集まってきたら、NPSの平均点やアンケートの回答など各種データを集計、分析する必要があります。

0~10の評価と合わせて、品質・価格・従業員の対応といった要素をアンケート調査してみましょう。自社が提供しているサービスのうち、どの要素がNPSに影響を及ぼしているかを把握するのに、アンケートは有効性が高い手段になります。そして、収集したデータを基に業務手順の変更と共有を行うことも忘れずに実施しましょう。

また、NPSのスコアは基本的にマイナス値になるということについても、あらかじめ説明しておいた方がいいかもしれません。

特に、日本では欧米に比べてNPSが低くなりやすいとされているため、導入初期はスコアの低さを見て厳しさを感じるかもしれません。

一方で、ベイン・アンド・カンパニーのオフィスパートナーであるロブ・マーチ氏によると、日本人は5点満点なら3点、10点満点なら5点を選びやすい傾向があるようです。つまり日本人は迷った際に中間値を取りやすいとされています。NPSだと0~6点の批判者に分類される人が増えやすい要因でもあります。

したがって、NPSがマイナス値であることを気にするよりも、調査を重ねるごとにNPSがどう変動しているかを重視することがポイントです。他社のNPSや顧客からのフィードバックなどを参考にして、商品やサービスの質を継続的に改善していくことが重要です。

まとめ

NPSは企業に対する信用性を測る指標であり、導入することで売上高の向上やフィードバックの増加による商品・サービス向上が見込めます。1つの質問で商品・サービスの改善に必要なデータを収集できる手軽さが特徴で、将来的に日本国内でもNPSを導入する企業は増えていくと考えられます。

会社全体でNSPの認知度を高め、社員一人ひとりが評価レベルを把握することで、従来の業務もより質の高いもの・本質的な取り組みへと変わるはずです。今後NPSの導入を検討されている方は、当記事で紹介したNPSの特徴や調査方法などを参考にしてみてください。

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