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Know-how / 2020.02.07

OMOとは?O2Oやオムニチャネルとの違い、導入事例を徹底解説

これまでのO2Oやオムニチャネルといったオンラインマーケティングでは、分断されたオフラインチャネルとオンラインチャネルを連携させることで、購買チャンスを生み出すことが目指されてきました。

近年、さらにその先を行くマーケティング概念として注目を集めているのがOMOです。

この記事では、OMOという概念のO2Oやオムニチャネルとの違い、OMOの具体的な実施例、今後のOMOの発展に必要となる要素について紹介します。

目次

OMOとは

 OMOとは「Online Merges with Offline」の略で、日本語に訳すと「オンラインがオフラインを併合する/融合する」といった意味になります。オンラインとオフラインの垣根がなくなり、オンラインでもオフラインでも差異のない快適な体験が提供される世界観を指します。

この新しい概念は、2017年に中国のベンチャーキャピタル「シノベーションベンチャーズ」の創設者李開復(リ・カイフー)氏によって提唱されました。

従来のマーケティングでは、オンラインとオフラインは分断されており、それぞれ独立したマーケティング施策がとられてきました。しかし現代では、IoTプロダクトの発展やモバイル端末の普及、それに伴うサブスクリプション型ビジネスやキャッシュレス決済の成立などにより、生活において完全にオフラインで完結する場というものが失われつつあります。このようなオンラインの仕組みの中にすでにオフラインの生活が包含されているというのが、OMOが想定している状態です。

したがってOMOのマーケティングでは、これまでのようなオフラインをベースにしたビジネスではなく、オンラインを出発点にしてオンラインとオフラインが混ざりあったビジネスを組み立てることが目指されます。

たとえば、消費者がキャッシュレス決済を利用していれば、どんな店舗からでも購買データを得て、導線分析を行うことができます。個人に紐づけられた情報に基づいてその人が必要としている商品を導き出し、常に携帯しているスマートフォンや、店舗に設置されたデジタルサイネージなどを通じて提案することもできるようになるでしょう。このようにOMOではオンラインとオフラインの各チャネルと情報が連関しあって新しいサービスが提供されます。

O2Oとの違い

O2Oは「Online to Offline」の略で、オンラインでの情報提供によってオフラインでの購買を促すといった、「オンラインからオフラインへと顧客を誘導すること」を指します。

具体的な施策としては、店頭(オフライン)で使うことができるクーポンを、メルマガや公式サイト上(オンライン)で配信して販売促進することや、SNS上(オンライン)からキャンペーンに参加した顧客を対象に、実店舗(オフライン)での買い物の際にポイントを追加で付与してリピート率の向上を図ることなどが考えられます。

O2OもOMOと同様にオンラインとオフラインが関係するマーケティング施策ではありますが、O2Oはあくまでもオンラインとオフラインを独立した異なる性質のものとみなして、オンラインからオフラインへの一方的な流入を促すことを目的としています。一方OMOでは、オンラインとオフラインは双方向的に連関しあっています。

オムニチャネルとの違い

オムニチャネル(Omnichannel)は「すべてのチャネル(販路)」を意味する言葉で、マーケティング戦略としては、実店舗に加えてオンライン、テレビ、カタログ通販、SNSなどのすべての販路を統合することで、顧客があらゆる接点から商品を購入できることを目指すことを指します。

オムニチャネルが注目されるようになった背景には、EC市場がこれまでにない規模まで成長し、小売業界にとってオンラインのチャネルが無視できないものになったという変化があります。かつてのように実店舗とネットショップの2つに分かれて、売上を奪い合うという構図ではいずれ限界が来てしまいます。

また、モバイル端末が広く普及したことも要因の1つです。現代では、店舗で商品を手に取ってみたり商品の説明を聞いたりしたうえで、その場で手元のスマホからネットショップに商品を注文するということも珍しくありません。このように現代の顧客は店舗という1つの接点で購入を完結させずに、品揃えや価格といった観点からメリットのある接点を選択しているのです。

オムニチャネルでは複数のチャネルを統合し、シームレスに連携させることで、顧客の消費行動を統合したチャネル内で完結させ、機会損失を回避することを目的としています。たとえば、店舗に商品在庫がない場合に店舗内の端末からすぐに在庫状況をチェックして注文することができたり、反対にネットで注文しておいた商品が配達されるのを待たずに近くの店舗で受け取れたりすれば、顧客と企業の双方にメリットを生み出すことができます。

オムニチャネルとOMOの違いは、各チャネルがオンラインとオフラインとに分断されているか、すべてのチャネルが常にオンラインにつながっているかという点にあります。

オムニチャネルでは、実店舗とECサイトのような、オンラインとオフラインに切り分けられた各チャネルを連携させることで消費者の購買行動を促すこと、つまりどこからでも買えるようにしておくことで機会損失を減らし、顧客からいかに買ってもらえるかを目指しています。

それに対してOMOでは、IoTやキャッシュレス決済などによって、あらゆる顧客接点が常にオンラインの中に取り込まれていることで得られるオンライン・オフライン双方のデータとIoT技術を活かし、ユーザーエクスペリエンスを向上させ、顧客にどの接点からでも買いたくなってもらうことを目指します。

OMOの実施例

中国では現在スマートフォンを利用した「Alipay(支付宝)」や「Wechat Pay(微信支付)」といったQRコード決済の普及率が非常に高いことで知られています。現金を利用している人の方が少数派であり、都市部では「スマホ1つあれば生活できる」とさえ言われている中国は、必然的にOMOが最も進んでいる国でもあります。ここではそんな中国におけるOMO施策の具体的な事例を2つ紹介します。

盒馬鮮生(フーマー)

中国3大インターネット企業の1つであるアリババ(阿里巴巴 Alibaba)が運営するスーパーマーケットの盒馬鮮生(フーマー)は、ネットスーパーとグローサラント(食料品店と飲食店を組み合わせた業態)の2つの面をあわせ持ち、実店舗とオンラインストアを融合させた非常に先進的なMOMを実施しています。

フーマーの店舗に陳列された商品は、バーコードをスマートフォンアプリで読み取ることで価格だけでなく在庫数や、産地と店舗に届けられるまでの経路といった情報を確認することができます。食品偽装が大きな問題となっている中国では、こうした食の安全性を保証できるサービスの重要性が高まっているためです。

フーマーの店舗には有人レジは存在せず、利用客は無人レジで商品をスキャンし、基本的にモバイルペイメントで支払いを行います。また、このように商品を直接買って帰る以外にも、店舗でスキャンした商品をすぐさま自宅へ配送してもらうこともできます。これにより利用客は、商品の信頼性を店舗で確認しながら、品物を持って帰らずとも買い物ができますし、店側は駐車場スペースのない地下鉄の駅近くなどのこれまでにない場所に出店することができます。

フーマーはオンラインストアを運営していて実店舗とも相互に連携しているため、あらかじめオンラインで注文しておいた食材を使った料理を店内レストランで食べることや、一度店舗で購入したことがあって品質や分量などを把握している商品を購入履歴から簡単に注文するといった、これまでにない購入体験を提供することができます。

このように実店舗とオンラインストアを融合させることで、生鮮食料品というEコマースではなかなか売上を伸ばしにくかった商品の販路拡大が可能になりました。

Amazon Go

Amazon.comが運営するAmazon GOは、レジで会計をせずにスムーズに決済処理を行い、商品を買うことができるという革新的な食料品店です。

Amazon GOの店舗の入り口には会員用スマートフォンアプリのコードを読み取るゲートがあり、利用客はここに自分のスマホをかざして入店します。その後は自由に商品を手に取ったりショッピングバッグに入れたりするだけで、自動でアプリ内の買い物かごに商品が追加されていきます。後はそのまま店を出るだけで自動的に会計が完了します。

これを可能にするのが、Amazonが「Just Walk Out」と名づけた技術です。Amazon GOの店内には多数のカメラとマイク、センサー類が設置されており、これらと画像識別システムやディープラーニング・アルゴリズムを組み合わせて、入店した人の動きをトラッキングします。一度手に取った商品を棚に戻す動作も認識して、購入のキャンセル処理ができるほどの認識精度の高さを誇っています。

Amazon GOで使われている「Just Walk Out」の技術は、2020年から各種小売店向けに提供を開始することが発表されており、人件費削減や混雑解消の効果が期待されています。

OMOの浸透に必要なこと

OMOが社会に浸透、発展していくためには、消費者があらゆる購入接点で常にオンラインとつながることのできる環境が必要になります。リー氏は、OMOが成立するための4つの条件を挙げています。

1.モバイルネットワークの普及

2.モバイル決済浸透率の高さ

3.幅広い種類のセンサーが高品質で安価に手に入り、遍在すること

4.自動化されたロボット・AIの普及

これらの条件の中で、OMOが最も進んでいる中国とそのほかの先進国とを比較した際に大きな相違点となるのが「モバイル決済浸透率の高さ」でしょう。

中国では2014年からオフライン店舗でも使用できるようになったモバイル決済ですが、そこからわずか数年で、都市部ではスマホ1つあれば現金を持たない生活ができるほどの浸透を見せました。その背景には、中国ではPCとインターネットの普及を待たずしてモバイルネットワークが一足飛びに普及したことや、偽造貨幣の蔓延により現金の信頼性が低かったこと、利便性の高いモバイル決済という新たなシステムを受け入れる若者が多かったといった要因があります。

他方、日本国内では慣れや信頼性などの理由から、現金決済や先に普及していたクレジットカード・非接触ICといった決済方法を好む人の割合が多く、現在キャッシュレス決済の中でモバイル決済をメインに利用する人の割合は伸び悩んでいます。キャッシュレス決済のポイント還元事業をきっかけに、各年代で利用者数も増加し、数字は今後伸びていくことと思われますが、そのためにはモバイル決済を利用できる店舗やサービスの拡大が必要となっていくでしょう。日本でも個人の飲食店などでモバイル決済に対応する店舗が増えつつありますが、中国のように屋台や公共交通機関でもスムーズにモバイル決済を利用できる環境は備わっていないのが現状です。

こうした社会全体のシステムや、消費者の意識の変化なくしてOMOの発展はありえません。OMOとは、1つの企業が無人レジのような設備を配備したり、オンラインストアで扱う商品を充実させたりといったマーケティング施策として取組むことで実現できるものではない、発展した社会の1つの状態なのです。

OMOが追求するのは「よりよいユーザー体験」

OMOとオムニチャネルの違いでも述べたように、OMOが目指すのは、単にオンラインとオフラインの各チャネルのどこからでも購入できる流れを作り、消費者の購買行動をスムーズにすることではありません。OMO社会で目指されるのは、オフラインの消費生活がすでにオンラインに取り込まれるように融合している状態を活かして、新たなユーザー体験(UX)を提供することです。

フーマーやAmazon GOのサービスのようなレジに並ばずに買い物をすることや、生鮮食料品を目で見て選びながら手で持って帰らないで済む生活は代表的な例でしょう。そのほかにも手に取った商品の使用イメージやバリエーションなどの多くの情報を、ネット検索せずに店頭サイネージで閲覧できるなど、OMO社会ではオフラインとオンラインのどちらのチャネルでもできなかった、素晴らしい購買体験を実現することができます。

こうしたより良いUXやCX(カスタマー・エクスペリエンス)を提供していくことで、これまでにない購買接点やより強い購買意欲を創出できることが期待されています。

まとめ

人々があらゆるシーンで常にオンラインにつながった社会によって実現できる、新たな顧客体験を提供する施策がOMOです。OMOが発展・浸透するための条件は、社会全体の様々な取組みの結果として達成できるものであり、どのような形で受容されることになるのかは、国や地域の文化や慣習によって左右される点があると考えられます。

しかし、中国やアメリカの先進的な事例を見るに、この先の私たちの生活や市場に与える影響の大きさの高さは疑いようがありません。OMO時代の到来によりどのような購買体験が登場するのか、注目はますます高まっていくでしょう。

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