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Know-how / 2020.02.22

パーセプションフロー・モデルとは?基礎知識を徹底解説

マーケティングの現場では、消費者が取った行動を分析する「カスタマージャーニー」という概念が活用されてきました。しかしその概念の登場は1990年と古く、デジタルマーケティングの世界で活用し続けるには限界がありました。

カスタマージャーニーに対し、消費者の「認識・知覚」に着目してマーケティング分析を行う「パーセプションフロー・モデル」という新しい概念が開発され、近年注目を集めています。この記事では、この「パーセプションフロー・モデル」について解説していきます。

目次

パーセプションフロー・モデルとは

パーセプションフロー・モデルとは、消費者の購買行動を「認識変化の流れ(パーセプションフロー)」とともに描き、それをもとにマーケティング活動の全体像を設計するマーケティングマネジメント手法です。

カスタマージャーニーなどに変わる新たなマーケティング・マネジメントの手法として、Coup Marketing Company代表の音部大輔氏によって開発されました。

パーセプションは「知覚」を指す言葉です。つまりターゲットである消費者の知覚が自然に変化していく中で、購買へとつなげていくための設計図がパーセプションフロー・モデル、ということになります。以下の画像は、実際にパーセプションフロー・モデルの作成に利用されているテンプレートです。

【引用】パーセプションフロー・モデルとは | FICC BLOG | FICCのデジタルマーケティングブログ
https://www.ficc.jp/blog/perceptionflow-modeling/

横軸には消費者の「行動」を起点として左から順に、

「パーセプション」
「知覚刺激」
「KPI」
「メディア」

の順に項目が並んでいます。

そして縦軸にある

「現状」
「認知」
「興味」
「購入」
「使用」
「満足」
「再購入」
「口コミ」

の8つの状態は、購買行動には現れない細かいパーセプションの変化を段階的に表しています。

こうした段階ごとに設定したKPIによってマーケティングROI(費用対効果)に基づく施策ごとの評価を可能にすることで、マーケティング全体を通じた仮説検証を実現することができるのです。

カスタマージャーニーを描くこととの違いは?

カスタマージャーニーは、消費者が辿る一連の購買行動について、「行動」に焦点を当てて時系列順に並べ、可視化したものです。

「カスタマージャーニー」は元々、消費者の行動を分析する手法として米国のIDEO社が1990年に開発した概念です。現在では日本のマーケティング業界にもこのカスタマージャーニーの概念が広がりました。しかし、時代が進むにつれ、カスタマージャーニーの弱点が表面化します。

「当初はテレビで商品を知り、店で買い、家に持って帰って満足するのが普通の流れだった。それが現代では商品認知の経路・商品のバリエーション・店舗・決済の手法が無数に存在する。なので、「行動」を軸としていてはカスタマージャーニーを再現できない」

デジタルマーケターズサミット 2018 Summerに登壇したFICC inc.代表取締役社長の荻野英希氏は、自らの体験を交え、パーセプションフロー・モデルが活用されていくマーケティング活動の新潮流を上記のように解説しました。

【引用】Web担当者Forum 【レポート】デジタルマーケターズサミット2018 Summer
https://webtan.impress.co.jp/e/2018/11/22/30875

マーケティングの現場で活用される技術は多様化しており、それらを開発・販売するベンダー数も今や数えきれないほどです。このような状況の中で、認知の推移・購買行動・口コミの拡散といった消費者行動の一連の流れを一元管理することそのものが、非常に難しくなっている実情があります。

こうした課題に対する解決策として開発された概念がパーセプションフロー・モデル」です。「カスタマージャーニー」が消費者の「過去の行動」を分析する概念であることに対し、パーセプションフロー・モデルは「消費者の認識や知覚の変化」に焦点を当てます。この点が、両者の大きな違いです。

パーセプションフロー・モデルの各要素を解説

パーセプションフロー・モデルを活用することで、マーケティングの全体像を描き計画から効果測定までの一元管理が可能となります。ここでは、パーセプションフロー・モデルの各構成要素について解説していきます。

パーセプションフロー・モデルの構成要素

パーセプションフロー・モデルには、以下の5つの構成要素があります。

・認識の変化に伴う行動の変化を表す「行動」

・行動を左右する情報解釈を表す「パーセプション」

・新しい認識を与える外部からあたえられる情報の「知覚刺激」

・マーケティングによる成果を示す指標である「KPI」

・知覚刺激を効果的・効率的に届ける「メディア・媒体」

例えば、消費者は「メディア・媒体」を通じた知覚刺激によって新しいパーセプションに気付き、その行動を変えていきます。要素の組み合わせは消費者の購買行動における認識変化の段階を表していて、それぞれが鎖状につながることでマーケティングの全体像を可視化しているのです。

パーセプションフロー・モデル内での「状態変化」

新規顧客の獲得を目的とする場合、まず「現状」から始まります。

これは消費者が商品の競合を選択している状態です。この状態に満足していない消費者は、現状抱えている問題点や新たな機会を認識することで、次の段階である「認知」へと進みます。

「認知」の段階では、得られる機会・解決すべき問題に対する認知がなされます。この認知によって現状に対する不満を与え、代替の選択肢を意識させるのです。その選択肢が現状の改善につながると認識し、提供される商品が自分の持つニーズに合致していると感じれば、さらなる状況の改善を期待し「興味」を持ちます。

「興味」から「購入」への推移では、さらに細分化されたいくつかの要素を含んでいます。

まずは代替品の購入を検討し、それが本当に最善であるかという「確認」です。この確認が瞬時に行われるものか、情報収集などを含め長期的に行われるものであるかは、商材により異なります。

次に、商品の購買を正当化するための「口実」が必要です。例えば、コスト・リスクを正当化するための「購買することで得られる別のメリット」などが考えられます。

購入後、消費者は商品の「使用」を通じてメリットを実感します。そうしてより多くの消費者が商品の持つメリットを享受するほど、再購入の確率を上げることができます。そのためには、消費者が充分に商品の効果を認識できるよう、正しい利用方法の周知と適性な期待値の設定が必要です。ここで得た期待値は、後の「再購入」や「口コミ」にも大きく影響してきます。

また、消費財ブランドにとって「使用」から「満足」への推移はとても重要な段階です。「認知」から「興味」への段階で形成された期待値が満たされることで、満足感とブランドに対する信頼感が生まれます。そのため事前に期待値を設定し、商品の使用で得られるメリット・効果の実感方法を周知しておく必要があるのです。

なお、「満足」から「再購入」への推移では、消費者が別の商品を選択してしまうことを避けるため「継続使用のメリット」「継続を止めてしまうことで生じるコスト」について知らせることが大切です。消費者自ら別の商品を選ぶことで失われる機会や発生するコストを認識することで、再購入につながる確率は大幅に伸びるでしょう。

最後は「再購入」から「口コミ」への推移です。人は期待値を超えた体験や、自身にとって予想外だった体験を周囲に伝えたいと思うものです。そして期待以上の体験と自身がその商品の愛用者であるということを認識すれば、ブランドに対する「信頼を」超えた「愛着」が生まれます。

「口コミ」を広く拡散してもらうためには、ブランドを誰かに勧める機会を提供する必要があります。例えば商品関連イベントを主催するなど、同じようにブランドに対して愛着を持った人々が、自然と会話ができる機会を提供することが大切です。

パーセプションフロー・モデルの作り方

マーケティングには多くの手法が存在するため、どのように活用すれば良いのか分からず迷ってしまう担当者も少なくないでしょう。ここで大切なのは、パーセプションフロー・モデルは「汎用的な設計図の書き方」であり、具体的な戦略そのものではないということです。マーケティング戦略上で役立つ思考のフレームワークとして捉え、その中に自社の商品を当てはめたうえで具体的へ計画に落とし込んでいくのです。

パーセプションフロー・モデルの作成はまず、COUP MAKETING COMPANYより提供されているテンプレートをダウンロードすることから始めましょう。

COUP MAKETING COMPANY パーセプションフロー・モデル定義 量産型テンプレート Ver.3.2.1
https://www.coupmarketing.jp/framework/perception_flow_template.pdf

上記PDFの4Pにテンプレートが記載されているので、まずはそちらをダウンロードします。そして図の左側にある「行動」欄から順に埋め、顧客の行動・認知・知覚を逆算していきましょう。

例えば、「競合他社の商品を利用している顧客」をターゲットに絞ってマーケティングを行っていくという場合、「その商品を使い続ける理由もないが、乗り換える理由もない」というターゲットに対して「認識の変化」を生じさせるために必要な「知覚刺激」は何か逆算します。逆算することで、特定のメディアや媒体を活用してターゲットに対して効果的な知覚刺激を与えることができます。

的確な刺激を与えられればターゲットの行動は変化し、現在利用している商品の代替品に意識を向けるようになるでしょう。現状の課題を認識させたうえで他ブランドの存在をアピールすれば、そのブランドに対して期待を寄せるようになっていくのです。

このように適切な知覚刺激を与えることで、ターゲットとなる顧客の認識を変化させ行動を変えていくための道筋を描いていくのが、パーセプションフロー・モデルです。

パーセプションフロー・モデルを描く意義

汎用性が高いパーセプションフロー・モデルですが、特にマーケティング・コミュニケーション全体を視野に入れたマネジメントの場面で大きな効果を発揮します。

パーセプションフロー・モデルを利用することで「マーケティング施策と消費者行動」「課題解決とKPI」といった、それぞれの項目同士が持つ関係性を可視化し理解しやすくまとめられるため、「効果測定」「マーケティングに関わるステークホルダーとの意思疎通」「自社内の連携」「プランニング・実行・改善」などの一元管理が可能となります。これにより、チーム内の連携・マーケティング計画の早期立案・規則的な活動の実行管理などをスムーズに行えるようになります。

全体設計に基づいてそれぞれの活動を規則的に改善していくため、マーケティング効果を確実に向上していくことができるのです。

また、パーセプションフロー・モデルを作成する際には、徹底的に「消費者の状況」を踏まえた設計にしなければなりません。なぜなら、パーセプションフロー・モデルの「主人公」はあくまで消費者だからです。

パーセプションチェンジ(認識変化)は「自然に起こるもの」です。最初にメディア・社会などから与えられる刺激・自身の思考から沸き起こる刺激があり、これをきっかけとして消費者は「何か」に気付きます。そのため、パーセプションフロー・モデルは直接的な売り込みなどではなく、こうした「認識の変化を現実の購買行動へ繋げていくこと」を目的として設計されています。

ターゲットとなる消費者への理解を深め、「消費者にどう認識して欲しいのか」という観点から計画を立てられることは、マーケティング上で認識の齟齬を減らすことができる点も大きなメリットとなるでしょう。

まとめ

パーセプションフロー・モデルを活用したとして事例に挙げられるものには、Fringe coo株式会社によるSaaS事業「Unipos」などがあります。

「Unipos」は、新聞・Webニュースなどを活用したPR施策の展開でコンバージョン率を4.1倍に向上。さらに、マーケティングとセールスの担当者の協働を促し、ともに問題への対処が可能な組織を構築しました。活動効率を高めることで潜在顧客とのクロージング率を2.3倍に向上するなど、パーセプションフロー・モデルを通じて2つの実績を残しています。

【参考】Fringe株式会社 2020年3月期第2四半期決算説明資料
http://ke.kabupro.jp/tsp/20191108/140120191108422368.pdf

ターゲットとする消費者の「行動」ではなく「認識変化の流れ」に着目したパーセプションフロー・モデルは、情報化社会の現代で消費者目線のマーケティングを行っていくために作られた新しい概念です。マーケティング組織を機能させるには、チームとして協働するための基盤が必要となります。

パーセプションフロー・モデルの導入はさまざまな分野において「専門性の壁を超えた共通言語」を確立し、チーム全員の能力を最大限に引き出すことが可能になります。

マーケティング活動全体を視野に収め、各段階の行動を「消費者の認識」という観点から読み解いていくこの手法は今後、マーケティングの世界に新たな可能性をもたらす存在となるでしょう。

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