
Know-how / 2020.10.07
アプリでも刈り取り偏重は終焉へ。ユーザー獲得戦略は「エンゲージメントドリブン」に進化する
- ASO
- アプリマーケティング
今やECサイトなどのオンライン上で商品・サービスを販売する際、「Web接客ツール」は欠かせないものになっています。
すでにツールを導入している企業もありますが、「効果が出ているか分からない」「上手く使いこなせていない」など、運用面で悩みを抱えているケースも多いのではないでしょうか。
Web接客ツールは確かに有益なものですが、目的や目標設定が曖昧なまま導入してしまうと、せっかくの機能を活かせないケースも少なくありません。それどころか、かえって業務量を増やしてしまい、運用面でのコストが増えてしまうリスクもあります。
今回はそんなWeb接客ツールに関して、概要やメリット、導入の際のポイントなどをご紹介します。
Web接客とは、実店舗でお客様に合わせた対応をするように、Webサービス上でもユーザーひとりひとりに合わせてコミュニケーションを取る手法です。
Web接客ツールは、そのような個別にパーソナライズされたやり取りを実現するために役立つツールのことです。
各顧客に最適なコミュニケーションを取るためには、ユーザーのデータが必要不可欠です。
例えば、お客様の名前や年齢、性別といった基礎情報はもちろん、購入履歴や閲覧履歴、流入経路などの行動に関わるデータも必要になります。普段、店舗で接客する際にお客様の好みに合わせて商品をおすすめするのと同じように、まずはこれらの基礎的なデータがないとWeb上での接客は成り立ちません。
Web接客ではこうしたデータを元にして、お客様の好みにマッチした商品をレコメンドしたり、今後出てくることが予測される課題を先回りして解決したりします。
顧客に寄り添った対応が実現できるため、顧客満足度の向上が期待できます。
Web接客を行う目的として大きいものとしては「LTV(顧客生涯価値)の最大化」があります。
One to Oneマーケティングの手法を通して顧客との関係をより強固にすることによって、ユーザーに自社の商品を末永く使ってもらえるようになります。既存顧客がリピート率の高いロイヤルカスタマーになることは、継続的で安定的な売上にもつながるのです。
では、Web接客によってどのようにLTVの最大化を進めていくのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
Webでは商品やサービスに簡単にアクセスできる反面、購入せずにWebページを出ていくことも容易です。インターネット通販を利用したことがある方であれば、何種類かの商品で迷った挙句に、購入をやめてしまった経験はあるのではないでしょうか。
Web接客を行うことで、悩みを抱えている顧客にメッセージを送ったり、アドバイスをしたりすることで迷っているユーザーを後押しすることができます。
このようにWeb接客は興味関心が薄れそうなユーザーを引き戻して、最後のワンプッシュをかけることでCVRを向上させられるのです。
離脱率を下げて機会損失を減らすこともWeb接客の目的の1つです。
離脱率とは、ブラウザを閉じたり外部サイトに移行したりして、サイトを離脱してしまったユーザーの割合のことです。特に商品購入に至るまでの導線上での離脱率はできるだけ抑えたいものです。
「商品を見てみたけど、自分の目的と合っているのか分からない」「商品に関して聞きたいことがあるけど手間がかかる」など、ユーザーが離脱してしまう理由はさまざまです。このような問題を解決するためには、ユーザーに悩みが生まれたタイミングですぐに解決するしか方法はありません。
Web接客はこのような場面でも活躍します。ユーザーの悩みをその場で解決できるようなWeb接客を取り入れることで、ユーザーに「安心して利用できるサイト」と認識され、離脱率を低下させられるでしょう。
モーメントとは、「生活者の商品やサービスに対する関心が非常に高まる瞬間」のことを指します。購買のデジタル化によってユーザーの選択肢が増えた今、このモーメントをしっかりと掴むことが重要です。顧客の興味や関心が高まっている段階で、適切な内容・量・タイミングに沿ったアプローチをすることで、顧客体験(CX)を高められます。
多数の商品やサービスが溢れている現代だからこそ、商品の性能や機能だけでなく、それ以外の接客やフォローなどの価値がより重要になっているのです。
また、こうした取り組みを積み重ねることが、一介のユーザーをロイヤルカスタマーへと育成していくことにもつながります。企業はCXを高めたり、ロイヤルカスタマーを増やしたりしていくことで、安定的に売上を拡大できるようになります。
こうした安定的な売り上げ体系を構築するのも、Web接客の目的なのです。
ここまでご紹介してきたように、Web接客ツールを使うことで一人ひとりのユーザーに適したコンテンツを表示することが可能になります。
実際に表示できる情報はさまざまで、
・テキストメッセージ
・バナー画像
・レコメンド情報
・申し込み用のフォーム
・チャット窓口
といった基本のだけでなく、工夫次第で色々な情報の表示が可能となります。
Web接客ツールではこれらの機能を通して、顧客とより良い関係を築くことを目的にしています。例えば、顧客が疑問に思っていることや不安に感じていることをWeb接客によって素早く解決することで、今まで逃していた顧客を掴むことができるでしょう。
ここでは、Web接客ツールで実現できることを2つご紹介します。
インターネット社会の到来によって、従来のマスマーケティングだけでなく、個人に合わせたマーケティング手法(One to One)が広がりつつあります。
One to Oneマーケティングとは、顧客一人ひとりのニーズ・購買履歴に合わせて、個別に展開されるマーケティング手法です。
一般的にユーザーのcookie情報を元にして顧客のデータを収集し、区別します。cookie情報を活用するとユーザーの性別や年齢、訪問回数や行動履歴などを追うことができ、顧客のインサイトに根差したアプローチが可能です。さらに、自社で持っている登録データを組み合わせることで、より確度の高いマーケティングが実現します。
例えば、大手通販サイトなどで表示される「あなたへのおすすめ」や「この商品を買った人はこんな商品も買っています」といったものは、One to Oneマーケティングの手法である「レコメンデーション」に該当します。
データを収集することがWeb接客においては重要であり、また収集したデータはサイトの改善に活用することが可能です。Web接客ツールはデータの収集が効率的に行えるので、サイト改善のPDCAサイクルを早く回せるようになります。例えばCVRが低いのであれば、バナーの配置やテキストを変更したり、顧客の属性ごとに異なる内容を表示させたりといった改善が可能になるのです。
Web接客ツールには、「ポップアップ型」「チャット型」の2つの手法があります。
ポップアップ型は、Webサイトの画面上にセール情報やクーポンなどユーザーに合わせた情報をポップアップ表示する方法を主とするものです。
ポップアップはユーザーの行動をトリガーに表示させるものが一般的です。ユーザーごとに表示させる内容を組み替えることができるので、特別感のある印象を提供できます。
また、後述する「チャット型」と比べ対応工数が少なくて済むため、運用コストが低い利点もあります。
チャット型は、ユーザーからの質問を元に回答を返すことで接客を行うものです。
ポップアップと異なり、ユーザーが自身で質問を打ち込んだり選択したりする必要があります。ユーザーに多少負荷をかける側面もありますが、ポップアップ型に比べて要求ニーズが高く、悩みも顕在化しているケースがほとんどです。
一対一の対話になるため、ポップアップより更に特別感を感じられるのが特徴です。
チャットボットには、すでに用意したルールに沿ってテキストを出し分けるものや、AIが自動で処理するもの、オペレータが手入力で応答する方法などがあります。そのため、事前の設定や運用を含めると人員が必要で対応コストは高いでしょう。
ここからはWeb接客ツールを導入するメリットと、効果的に活用するために予め知っておくべき注意点をご紹介します。
Web接客ツールを導入するメリットは主に3つあります。
・サイト離脱率の低減
Web接客ツールによって顧客の課題を解決できれば、離脱率低下が期待できるでしょう。
電話など有人の問い合わせと違い、チャットボットなどのサービスでは24時間365日の対応が可能ですので、ユーザーを待たせることなく課題解決に導き、次のステップへと引き上げられます。
・購入率向上
Web接客ツールを活用することで、サイトを訪問した顧客の行動履歴や購買履歴を分析してパーソナライズされた接客ができるため、購入率の向上が期待できます。
先ほどご紹介したポップアップ機能やレコメンデーション機能などを使えば、その他の商品も追加で購入してもらえる可能性も高まるでしょう。
・顧客満足度向上
Web接客ツールは実店舗で行うような接客を顧客に提供できるため、初めてサイトを訪れた顧客に対して、購入する商品の確認方法や購入までの手続きを丁寧に伝えることも可能です。また、ユーザーごとに最適なタイミングかつニーズのあるクーポンなどを配布すれば、顧客満足度はより高まるでしょう。
Web接客ツールを効果的に活用するための注意点を2つ紹介します。
・導入・運用コストがかる
Web接客ツールを導入する際には、導入コストが発生します。製品の中にはサイト来訪者や数閲覧数によって単価が変わるものもあるため注意が必要です。その他にもバナーやフォーム、チャットなど機能ごとに別途料金が発生する製品もありますので、購入前には料金体系についてもよく確認するようにしてください。
運用面でも、、1度設置したら完了というわけではなく、Web接客ツールを効果的なものにしていくためには、定期的にWebサイトの改良などを実施する必要があります。
さらにチャットの有人オペレーションを行う場合は専任の担当者が必要になるため、人件費なども考慮したうえで運用が継続的に行えるか検討する必要があります。
・運用体制を整える必要がある
Web接客ツールの導入にあたって、運用体制を整える必要があります。
Web上のシナリオの設計やツールへの実装、その後の効果検証や改善など、ツールを導入した後の調整作業は必要不可欠です。効果を最大化するためにも、あらかじめ運用チームを組んでおくことをおすすめします。
導入当初は工数がかかる場合もありますが、検証と改善を続けることで次第にコストダウンしてくはずです。
Web接客の効果を最大化するために、おさえておくべきポイントがいくつかあります。各ポイントについて詳しく解説します。
1つ目のポイントは、改善指標や導入目的を明確にすることです。
導入の目的を明確にせず、「なんとなく業務効率が上がりそうだったから」「売上が上がりそうだったから」という理由で使いはじめるのはおすすめできません。まずは自社の目的と課題を洗い出すところからスタートしてみましょう。
また、目的と課題を明瞭にしておくと、導入後の改善業務や分析業務もより本質的なものになります。目的が曖昧なまま導入を進めてしまうと、導入後の効果が測りにくく、ツールの貢献度を確かめることもできません。そのため、まずは導入の目的を明確化するようにしましょう。
その上で、CVRや離脱率など様々な指標がある中で、どの指標を改善していくのか、あらかじめ設定しておきましょう。改善指標を決める際は、目標設定から逆算して細分化するのがいいでしょう。指標を明確化することで改善施策も具体化するため、業務もしやすくなります。
Web接客ツールは導入後の運用・改善業務が肝心です。チャットやポップアップで表示されているテキストの効果はしっかりと出ているか、クーポンの利用率は向上しているかなど、細かい部分まで確認するようにしましょう。
また、生じた課題に関して、Web接客ツール以外の方法で解決できる手段を探ることも大切です。解決できる方法をいくつか抽出したうえで、比較検討して決めましょう。
改善のプロセスでは、当初設定していた目標や改善指標と照らし合わせて費用対効果を明確にすることも大切です。導入コスト以上の効果が見込めないと、ツールが無意味なものになってしまいます。ツールを最大限活用するためには、どのようなターゲットに何を配信して、どれくらいの購入率が予想できるかシミュレーションをしたうえで実践、そして再度分析してみましょう。
このように改善のPDCAを繰り返すことで、サービスの質を高められるだけではなく、業務負荷も次第に減っていきます。
今回はWeb接客ツールについてご紹介しました。
Web上で実店舗のように臨機応変な接客ができずに、顧客の誘導やサポートに課題がある企業も多いことでしょう。Web接客ツールではそうした課題がクリアできることに加え、効率的に売上を伸ばす仕組みづくりも実現できます。まずは自社の課題を洗い出し、Web接客ツールで解決できるところから初めてみましょう。
費用対効果や自社との相性をよく確かめたうえでWeb接客ツールを導入して、長期的な売上拡大を目指してみてくださいね。
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